ボルタレンサポ50mg50個(ノバルティス)劇薬(※冷)
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ボルタレンサポ50mg50個(ノバルティス)劇薬(※冷)

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総称名 ボルタレン
一般名 ジクロフェナクナトリウム
欧文一般名 Diclofenac Sodium
薬効分類名 鎮痛・解熱・抗炎症剤
薬効分類番号 1147
ATCコード M01AB05 M02AA15
KEGG DRUG D00904 ジクロフェナクナトリウム
商品一覧 商品一覧(他薬効を含む) 米国の商品 相互作用情報
KEGG DGROUP DG01504 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAID)
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JAPIC 添付文書(PDF)

 

警告

幼小児・高齢者又は消耗性疾患の患者は、過度の体温下降・血圧低下によるショック症状があらわれやすいので、これらの患者には特に慎重に投与すること。

禁忌

次の患者には投与しないこと

消化性潰瘍のある患者〔消化性潰瘍を悪化させる。〕(ただし、「1.慎重投与」の項参照)

重篤な血液の異常のある患者〔副作用として血液障害が報告されているため血液の異常を悪化させるおそれがある。〕(「4.副作用」の項参照)

重篤な肝障害のある患者〔副作用として肝障害が報告されているため肝障害を悪化させることがある。〕(「4.副作用」の項参照)

重篤な腎障害のある患者〔腎血流量低下作用があるため腎障害を悪化させることがある。〕

重篤な高血圧症のある患者〔プロスタグランジン合成阻害作用に基づくNa・水分貯留傾向があるため血圧をさらに上昇させるおそれがある。〕

重篤な心機能不全のある患者〔プロスタグランジン合成阻害作用に基づくNa・水分貯留傾向があるため心機能を悪化させるおそれがある。〕

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

直腸炎、直腸出血又は痔疾のある患者〔粘膜刺激作用によりこれらの症状が悪化することがある。〕

アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等により誘発される喘息発作)又はその既往歴のある患者〔重症喘息発作を誘発する。〕

インフルエンザの臨床経過中の脳炎・脳症の患者(「10.その他の注意」の項参照)

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

トリアムテレンを投与中の患者(「3.相互作用」の項参照)

効能・効果及び用法・用量

効能効果

下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎

 

関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、後陣痛

 

手術後の鎮痛・消炎

他の解熱剤では効果が期待できないか、あるいは、他の解熱剤の投与が不可能な場合の急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の緊急解熱

用法用量

成人

ジクロフェナクナトリウムとして通常1回25〜50mgを1日1〜2回、直腸内に挿入するが、年齢、症状に応じ低用量投与が望ましい。
低体温によるショックを起こすことがあるので、高齢者に投与する場合には少量から投与を開始すること。

小児

ジクロフェナクナトリウムとして1回の投与に体重1kgあたり0.5〜1.0mgを1日1〜2回、直腸内に挿入する。
なお、年齢、症状に応じ低用量投与が望ましい。
低体温によるショックを起こすことがあるので、少量から投与を開始すること。
年齢別投与量の目安は1回量として下記のとおりである。

1才以上3才未満

6.25mg

3才以上6才未満

6.25〜12.5mg

6才以上9才未満

12.5mg

9才以上12才未満

12.5〜25mg

 

使用上の注意

慎重投与

消化性潰瘍の既往歴のある患者〔消化性潰瘍を再発させることがある。〕

血液の異常又はその既往歴のある患者〔血液の異常を悪化又は再発させるおそれがある。〕

出血傾向のある患者〔血小板機能異常が起こることがあるため出血傾向を助長するおそれがある。〕

肝障害又はその既往歴のある患者〔肝障害を悪化又は再発させることがある。〕

腎障害又はその既往歴のある患者〔腎血流量低下作用があるため腎障害を悪化又は誘発することがある。〕

腎血流量が低下しやすい患者〔心機能障害のある患者、利尿剤や腎機能に著しい影響を与える薬剤を投与中の患者、腹水を伴う肝硬変のある患者、大手術後、高齢者等では有効循環血液量が低下傾向にあり、腎血流量が低下しやすいので、腎不全を誘発するおそれがある。〕

高血圧症のある患者〔プロスタグランジン合成阻害作用に基づくNa・水分貯留傾向があるため血圧をさらに上昇させるおそれがある。〕

心機能障害のある患者〔プロスタグランジン合成阻害作用に基づくNa・水分貯留傾向があるため心機能を悪化させるおそれがある。〕

SLE(全身性エリテマトーデス)の患者〔SLE症状(腎障害等)を悪化させるおそれがある。〕

過敏症の既往歴のある患者

気管支喘息のある患者〔気管支喘息患者の中にはアスピリン喘息患者も含まれており、それらの患者では重症喘息発作を誘発する。〕

潰瘍性大腸炎の患者〔症状が悪化したとの報告がある。〕

クローン病の患者〔症状が悪化したとの報告がある。〕

高齢者及び幼小児〔副作用、特に過度の体温下降・血圧低下によるショック症状があらわれやすい。〕(「2.重要な基本的注意」、「5.高齢者への投与」、「7.小児等への投与」の項参照)

非ステロイド性消炎鎮痛剤の長期投与による消化性潰瘍のある患者で、本剤の長期投与が必要であり、かつミソプロストールによる治療が行われている患者(ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能又は効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もあるので、本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与すること。)

重要な基本的注意

ジクロフェナクナトリウム製剤を投与後にライ症候群を発症したとの報告があり、また、同効類薬(サリチル酸系医薬品)とライ症候群との関連性を示す海外の疫学調査報告があるので、本剤を小児のウイルス性疾患の患者に投与しないことを原則とするが、投与する場合には慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察すること。〔ライ症候群:水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、激しい嘔吐、意識障害、痙攣(急性脳浮腫)と肝臓ほか諸臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形、AST(GOT)、ALT(GPT)、LDH、CK(CPK)の急激な上昇、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である。〕

消炎鎮痛剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること。

患者の状態を十分に観察し、副作用の発現に留意すること。過度の体温下降、虚脱、四肢冷却等があらわれることがあるので、特に高熱を伴う幼小児及び高齢者又は消耗性疾患の患者においては、投与後の患者の状態に十分注意すること。

重篤な肝障害があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察すること。特に連用する場合は定期的に肝機能検査を行うことが望ましい。また、肝障害に先行して、あるいは同時に急激な意識障害があらわれることがある。

慢性疾患(関節リウマチ、変形性関節症等)に対し本剤を用いる場合には、次の事項を考慮すること。

長期投与する場合には、定期的に臨床検査(尿検査、血液検査及び肝機能検査等)を行うこと。また、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な措置を講ずること。

薬物療法以外の療法も考慮すること。

 

急性疾患に対し本剤を用いる場合には、次の事項を考慮すること。

急性炎症、疼痛及び発熱の程度を考慮し、投与すること。

原則として同一の薬剤の長期投与を避けること。

原因療法があればこれを行うこと。

 

感染症を不顕性化するおそれがあるので、感染による炎症に対して用いる場合には適切な抗菌剤を併用し、観察を十分行い慎重に投与すること。

他の消炎鎮痛剤との併用は避けることが望ましい。

高齢者及び小児には副作用の発現に特に注意し、必要最小限の使用にとどめるなど慎重に投与すること。

本剤投与中に眠気、めまい、霧視を訴える患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように十分注意すること。

相互作用

相互作用序文

本剤は主に代謝酵素CYP2C9で代謝される。

薬物代謝酵素用語

CYP2C9

併用禁忌

(トリテレン)
急性腎不全があらわれたとの報告がある。 本剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、トリアムテレンの腎障害を増大すると考えられる。

併用注意

本剤のCmaxとAUCが増加することがある。 これらの薬剤は本剤の代謝酵素であるCYP2C9を阻害する。
痙攣を起こすおそれがある。痙攣が発現した場合には、気道を確保し、ジアゼパムの静注等を行う。 ニューキノロン系抗菌剤が脳内の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体結合を濃度依存的に阻害し、ある種の非ステロイド性抗炎症剤との共存下ではその阻害作用が増強されることが動物で報告されている。
これらの薬剤の血中濃度を高め、その作用を増強することがある。必要に応じて、これらの薬剤の用量を調節する。 本剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、これらの薬剤の腎クリアランスが低下するためと考えられる。
相互に作用が減弱されることがある。 アスピリンは本剤の血漿蛋白結合を減少させ、血漿クリアランスを増加させることにより、その血中濃度を減少させる。逆に、本剤により、アスピリンの尿中排泄量が増加するとの報告がある。
消化器系の副作用を増強させるおそれがある。 両剤とも消化管の障害作用をもつため、併用した場合その影響が大きくなるおそれがある。
相互に胃腸障害等が増強されることがある。 両剤とも消化管の障害作用をもつため、併用した場合その影響が大きくなるおそれがある。
相互に副作用、特に、胃腸障害等が増強されることがある。 両剤とも消化管の障害作用をもつため、併用した場合その影響が大きくなる。
降圧剤
これらの薬剤の降圧作用を減弱することがあるので、用量に注意すること。 本剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、これらの薬剤の血圧低下作用を減弱するおそれがある。
降圧剤
腎機能を悪化させるおそれがある。 プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。
危険因子:高齢者
これらの薬剤の作用を減弱させることがある。利尿効果、血圧を観察し、必要に応じてこれらの薬剤の増量を考慮する。 本剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、これらの薬剤の利尿効果を減弱するおそれがある。
これらの薬剤の作用を減弱させることがある。また、腎機能障害患者における重度の高カリウム血症が発現するおそれがある。 プロスタグランジン産生が抑制されることによって、ナトリウム貯留作用による降圧作用の減弱、カリウム貯留作用による血清カリウム値の上昇が起こると考えられる。危険因子:腎機能障害
出血の危険性が増大するとの報告がある。血液凝固能検査等出血管理を十分に行う。 本剤の血小板機能阻害作用とこれらの薬剤の作用により、出血の危険性が増大する。
シクロスポリンによる腎障害を増強するとの報告がある。腎機能を定期的にモニターしながら慎重に投与する。 機序は十分解明されていないが、本剤はシクロスポリンによる腎障害に対して保護的な作用を有するプロスタグランジンの合成を阻害し、腎障害を増大すると考えられる。
高カリウム血症があらわれるおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。 高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
高カリウム血症があらわれるおそれがあるので、血清カリウム値に注意すること。 高カリウム血症の副作用が相互に増強されると考えられる。
本剤の血中濃度が低下するおそれがある。コレスチラミンによる吸収阻害を避けるため、コレスチラミン投与前4時間若しくは投与後4〜6時間以上、又は可能な限り間隔をあけて慎重に投与すること。 コレスチラミンは陰イオン交換樹脂であり、消化管内で胆汁酸、陰イオン性物質や酸性物質等と結合してその吸収を遅延・抑制させる。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤
消化管出血があらわれることがあるので、注意して投与すること。 これらの薬剤の投与により血小板凝集が阻害され、併用により出血傾向が増強すると考えられる。

副作用

副作用発現状況の概要

承認時までの調査例数1,420例中、106例(7.46%)に130件の副作用が認められた。症状としては下痢・軟便・腹痛等の消化器症状70例(4.93%)が主なもので、他に肛門部刺激による局所症状17例(1.20%)、めまい等の精神神経症状10例(0.70%)、浮腫8例(0.56%)、発疹等の皮膚症状6例(0.42%)がみられている。
また、市販後の使用成績調査21,958例中、390例(1.78%)に482件の副作用が認められている。症状としては下痢・便秘・腹部不快感・悪心等の消化器症状182例(0.83%)が主なもので、他に局所症状46例(0.21%)、低体温30例(0.14%)、浮腫、発疹等がみられている。(承認時まで及び再審査終了時までの調査)

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

(頻度不明)

下記のような副作用があらわれることがある。
このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

ショック(胸内苦悶、冷汗、呼吸困難、四肢冷却、血圧低下、意識障害等)、アナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)

出血性ショック又は穿孔を伴う消化管潰瘍

消化管の狭窄・閉塞(消化管の潰瘍に伴い、狭窄・閉塞があらわれることがある)

再生不良性貧血、溶血性貧血、無顆粒球症、血小板減少

中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、紅皮症(剥脱性皮膚炎)

急性腎不全(間質性腎炎、腎乳頭壊死等)(症状・検査所見:乏尿、血尿、尿蛋白、BUN・血中クレアチニン上昇、高カリウム血症、低アルブミン血症等)、ネフローゼ症候群

重症喘息発作(アスピリン喘息)

間質性肺炎

うっ血性心不全、心筋梗塞

無菌性髄膜炎(項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等)〔特にSLE又はMCTD等のある患者では注意すること。〕

重篤な肝障害(劇症肝炎、広範な肝壊死等)

急性脳症(特に、かぜ様症状に引き続き、激しい嘔吐、意識障害、痙攣等の異常が認められた場合には、ライ症候群の可能性を考慮すること)

横紋筋融解症(急激な腎機能悪化を伴うことがある)(症状:筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等)

脳血管障害

 

その他の副作用

  頻度不明 0.1%〜5%未満 0.1%未満
消化器 胃痛、小腸・大腸の潰瘍、出血性大腸炎、クローン病又は潰瘍性大腸炎の悪化、膵炎、食道障害 悪心・嘔吐、腹痛、下痢、軟便及び直腸粘膜の刺激 消化性潰瘍、胃腸出血、便秘、食欲不振、口内炎、胃炎、吐血、下血
血液 出血傾向、血小板機能低下(出血時間の延長) 貧血
肝臓 黄疸 AST(GOT)・ALT(GPT)上昇 肝障害
皮膚 多形紅斑 光線過敏症、紫斑、そう痒症
過敏症 喘息発作、アレルギー性紫斑、血管浮腫 発疹、蕁麻疹、顔面浮腫
精神神経系 不眠、神経過敏、しびれ、振戦、錯乱、幻覚、痙攣、抑うつ、不安、記憶障害 眠気、めまい、頭痛
感覚器 視覚異常(霧視等)、味覚障害、聴覚障害 耳鳴
循環器 頻脈 血圧低下、血圧上昇、動悸
その他 発汗、脱毛、血管炎 浮腫 発熱、胸痛、全身けん怠感

高齢者への投与

高齢者では、副作用があらわれやすいので、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。(【警告】及び「2.重要な基本的注意」の項参照)

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。〔妊娠中の投与で、胎児に動脈管収縮・閉鎖、徐脈、羊水過少が起きたとの報告があり、胎児の死亡例も報告されている。また、分娩に近い時期での投与で、胎児循環持続症(PFC)、動脈管開存、新生児肺高血圧、乏尿が起きたとの報告があり、新生児の死亡例も報告されている。〕

子宮収縮を抑制することがある。

本剤投与中は授乳を避けさせること。〔母乳中へ移行することが報告されている。〕

小児等への投与

ウイルス性疾患(水痘、インフルエンザ等)の患者に投与しないことを原則とするが、投与する場合には慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察すること。(「2.重要な基本的注意」の項参照)

新生児及び乳児は、一般に体温調節機構が不完全なため、本剤の投与により過度の体温下降を起こす可能性があるので、新生児及び乳児には、過度の体温上昇等やむを得ない場合にのみ投与すること。

過量投与

徴候、症状

過量投与に関する情報は少なく、典型的な臨床症状は確立していない。

処置

非ステロイド性消炎鎮痛剤による過量投与時には、通常次のような処置が行われる。

低血圧、腎不全、痙攣、胃腸障害、呼吸抑制等に対しては支持療法及び対症療法を行う。
蛋白結合率が高いため、強制利尿、血液透析等は、ジクロフェナクの除去にはそれほど有用ではないと考えられる。

 

適用上の注意

使用時

 

直腸投与による外用にのみ使用すること。

本剤はできるだけ排便後に投与すること。

 

その他の注意

インフルエンザの臨床経過中に脳炎・脳症を発症した患者(主として小児)のうち、ジクロフェナクナトリウムを投与された例で予後不良例が多いとする報告がある。

インフルエンザ脳炎・脳症例の病理学的検討において脳血管の損傷が認められるとの報告があり、また、ジクロフェナクナトリウムは血管内皮修復に関与するシクロオキシゲナーゼ活性の抑制作用が強いとの報告がある。

外国において、肝性ポルフィリン症の患者に投与した場合、急性腹症、四肢麻痺、意識障害等の急性症状を誘発するおそれがあるとの報告がある。

非ステロイド性消炎鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的な不妊が認められたとの報告がある。1)2)3)

薬物動態

吸収・血中濃度4)

健康成人にボルタレンサポ25mg及び50mgを朝食1時間後に単回直腸投与した場合の平均血漿中濃度は図のように推移した。

薬物動態パラメータ

  Tmax(hr) Cmax(ng/mL) AUC0→24(ng/mL・hr) T1/2(hr)
ボルタレンサポ25mg 0.81±0.28 570±134 864±172 1.3
ボルタレンサポ50mg 1.00±0.14 881±83 2,440±191 1.3
(n=9、平均±SE)

 

 

 

代謝・排泄

 

健康成人に経口投与した場合の尿中には未変化体の他5種類の水酸化体が認められており、その大部分はグルクロン酸抱合体である。5)6)(外国人のデータ)

また、健康成人に14C-ジクロフェナクナトリウム50mgを経口投与又は静脈内投与した場合、投与後12時間で投与量の約40%が尿中に96時間で約60%が尿中に、約30%が糞中に排泄される。7)(外国人のデータ)

小児における吸収及び排泄パターンは成人での場合と類似している。8)9)

 

臨床成績

国内111施設で計1,420例について実施された二重盲検比較試験を含む臨床試験(承認時まで)の概要は次のとおりである。

 

  疾患名 例数 有効 有効率(%)
成人 関節リウマチ 65 40 61.5
変形性関節症 84 49 58.3
腰痛症 80 57 71.3
後陣痛 33 25 75.8
手術後の疼痛・炎症 278 217 78.1
急性上気道炎 31 18 58.1
小児 手術後の疼痛・炎症 83 66 79.5
発熱疾患(主に急性上気道炎)における解熱 290 266 91.7

 

 

薬効薬理

抗炎症作用10)11)12)13)

 

急性炎症に対する作用

ジクロフェナクナトリウムは、カラゲニン浮腫(ラット)に対してインドメタシンと同等の抑制作用を示し、紫外線紅斑(モルモット)に対してはインドメタシン又はフルフェナム酸より強い抑制作用を示す。また酢酸投与による毛細血管透過性亢進(マウス)に対しインドメタシンと同等の抑制作用を示す。

亜急性・慢性炎症に対する作用

ジクロフェナクナトリウムは、持続性浮腫、肉芽のう腫、肉芽腫、アジュバント関節炎等の実験的慢性炎症及び肉芽形成に対し優れた抑制作用を示す(ラット)。これらの作用は、インドメタシン及びプレドニゾロンに匹敵するものであり、フルフェナム酸、メフェナム酸あるいはフェニルブタゾンより明らかに強い。

 

鎮痛作用10)12)

ジクロフェナクナトリウムは、Tail pinch法(モルヒネ負荷マウス)、酢酸ストレッチ法(マウス)、Randall-Selitto法(ラット)等で、多くの場合インドメタシン及びフルフェナム酸より強い鎮痛効果を示す。

解熱作用14)

ジクロフェナクナトリウムは、直腸内投与により、ラット及びウサギにおけるイースト発熱、リポポリサッカライド発熱に対し優れた解熱作用を示し、その作用はインドメタシン(直腸内投与)より強い。成熟動物と幼若動物の間に効果の差異はなく、正常体温にもほとんど影響を及ぼさない。

プロスタグランジン合成阻害作用15)

ジクロフェナクナトリウムは、ウシ精のうミクロソーム分画におけるプロスタグランジンの合成を低濃度で阻害し、その作用はインドメタシン、ナプロキセン等より強い。

有効成分に関する理化学的知見

一般名 ジクロフェナクナトリウム
一般名(欧名) Diclofenac Sodium
化学名 Monosodium 2-(2,6-dichlorophenylamino)phenylacetate
分子式 C14H10Cl2NNaO2
分子量 318.13
性状 白色〜微黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
メタノール又はエタノール(95)に溶けやすく、水又は酢酸(100)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。吸湿性である。
分配係数 13.4〔1-オクタノール/水(pH7.4のリン酸塩緩衝液)〕
KEGG DRUG D00904

包装

ボルタレンサポ12.5mg

(アルミコンテナー)50個

ボルタレンサポ25mg

(アルミコンテナー)50個

ボルタレンサポ50mg

(アルミコンテナー)50個、250個

主要文献


1. Akil,M.et al.,  Br.J.Rheumatol.,  35 (1),  76,  (1996) »PubMed »DOI
2. Smith,G.et al.,  Br.J.Rheumatol.,  35 (5),  458,  (1996) »PubMed »DOI
3. Mendonca,L.L.F.et al.,  Rheumatology,  39 (8),  880,  (2000) »PubMed »DOI
4. 水島 裕ほか,  炎症,  8 (5),  475,  (1988) »DOI
5. Faigle,J.W.et al.,  Xenobiotica,  18 (10),  1191,  (1988) »PubMed »DOI
6. Degen,P.H.et al.,  Xenobiotica,  18 (12),  1449,  (1988) »PubMed »DOI
7. 社内資料:血中濃度、排泄および代謝に関するヒトでの実験
8. 浜本虎太ほか,  現代の診療,  22 (10),  1307,  (1980)
9. 東 文生,  耳鼻咽喉科臨床,  75 (6),  1445,  (1982) »DOI
10. 高島俊行ほか,  基礎と臨床,  6 (8),  1682,  (1972)
11. 鶴見介登ほか,  日本薬理学雑誌,  69 (2),  299,  (1973) »PubMed
12. 鶴見介登ほか,  日本薬理学雑誌,  69 (2),  319,  (1973) »PubMed
13. 青木隆一ほか,  基礎と臨床,  6 (8),  1770,  (1972)
14. 社内資料:成熟および幼若動物における解熱作用
15. Menasse,R.et al.,  Scand.J.Rheumatol.,   (Suppl.22),  5,  (1978) »PubMed »DOI

作業情報


改訂履歴

2016年7月 改訂
2020年4月 改訂 (第13版)

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ノバルティスファーマ株式会社
東京都港区虎ノ門1-23-1

 

https://www.kegg.jp/ より


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